円形脱毛はどうして起こる?
色々な説がありますが、最近では ” 自己免疫疾患 ” が原因だという説が有力です。
自己免疫疾患とは
本来、体内に侵入してきた細菌やウイルスを排除する役割をするリンパ球(免疫)が、正常な細胞を攻撃してしまうことで発生する症状のことです。
脱毛症の場合、この自己免疫疾患により毛包が攻撃され、破壊・収縮することで髪の毛が育たなくなってしまいます。自己免疫疾患には、甲状腺ホルモンの異常により起こる橋本病やバセドウ病、関節リウマチ、尋常性白飯などがあり、円形脱毛症とそれらを併発する場合もあります。
自己免疫疾患はどうして起こるの?
自己免疫疾患は様々な理由で起こります。
● ある体内物質に似た異物が体の中に侵入した場合
免疫は異物と体内物質を見分けることができず、体内物質まで攻撃してしまうことがあります。
● ウイルス・薬・紫外線・放射線などにより、正常な体内物質が変質した場合。
免疫は、その変質した細胞を異物だと認識してしまうことがあります。
● 普段は決まった領域にあるはずの物質(血液)が、怪我などで他の場所に流れ出てしまった場合。
通常は免疫システムに見つからない場所にあるはずの血液が、怪我などで外(通常と異なる領域)に出てしまうと、それを異物だと判断してしまうことがあります。 この自己免疫疾患により、免疫が毛包を異物だと判断してしまうと、毛包が攻撃され、脱毛が起こってしまいます。
円形脱毛症の種類
円形脱毛症にはいくつかの種類があります。綺麗な円形の形をした単発型は、治療をしなくとも自然に治る場合が多いとされています。蛇行型、全頭型、汎発型は非常に治りにくい場合が多く、治療に数年かかることもあります。
◆単発型
円形脱毛症の症状の中でも1番多く見られる症状です。直径1cm程度のものから500円玉程度のものが、1~3カ所程度出来ます。
◆多発型
脱毛部分が2カ所以上あり、髪が生えてきてもまた脱毛を繰り返したり、脱毛部分が結合して広範囲に広がる可能性があります。
◆蛇行型
後頭部や側頭部の生え際から脱毛し、蛇のように細長くのび広がっていきます。
◆全頭型
多発型から脱毛部分が頭部全体的に広がり、最終的に毛髪が抜け落ちてしまう症状です。
◆汎発(ばんぱつ)型
頭部だけでなく眉毛やまつ毛など全身の体毛が脱毛してしまう症状です。
円形脱毛症の中では最も重い症状と言われており治療にも長い時間を要することがあります。
円形脱毛症の治療法
①薬による治療
一般的な西洋医学の薬による治療の場合、免疫システムを抑制する薬を使用します。 しかし、この薬では自己免疫疾患の病気症状は抑えることができますが、免疫の力も抑制してしまいます。 そうすると、風邪やインフルエンザ、食中毒などの感染症やがん細胞への抵抗力も弱まってしまうという弱点もあります。
直接脱毛部に施す治療法としては
●ドライアイスなどで冷やす冷却治療
●紫外線を照射する紫外線療法
●点滴でステロイドを注入する方法
などもあります。自分で判断することなく、クリニックの先生とよく相談しながら治療を進めましょう。
②栄養補給とマッサージによる治療
一般的な円形の脱毛(約2~3センチ程度)のものであれば、通常3ヶ月程度で治るといわれています。しかし、
●綺麗な円形ではなくいびつな形をしている
●脱毛部が複数ある
●脱毛部が前髪や首の生え際にある
などの場合は脱毛が広がったり、治るのに時間がかかる場合があります。
薬はどうしても副作用があるものなので薬を使わずに治療を希望する場合は、適切な栄養補給指導とマッサージにより治療をしてくれる育毛サロンもたくさんあります。
③ウィッグを使用する
スウェーデンでは、ウィッグは医療用器具として認められています。 直接脱毛治療に繋がるわけではありませんが、紫外線などの刺激から頭皮を守ることができます。 また何よりも、今まで通りの日常生活が送りやすくなることから、精神状態を安定させてくれる効果があります。全頭型・汎発型の方は特に治療に長い時間を要する場合があるので、ウィッグを上手に活用して、できるだけ心も元気に過ごせる方法を選びましょう。
あなたに合った治療法を選びましょう
これ!と原因を確定できないのが円形脱毛症の複雑なところですが、早い段階できちんと専門家に相談することで、症状に合った改善策を見出すことができます。クリニックを受診し薬を用いた治療をするか、育毛サロンで自然治癒力を高めていく治療をするか、ウィッグで日常生活を送りながら治療を進めていくか、 ご自身に合った方法で治療を進めましょう。
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